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そもさんせっぱちょーちょーはっし

局所最適化するから「いい兄貴問題」に陥る

書く動機

第1回 エンジニアリングマネージャー勉強会 に参加して考えたことをまとめる。

一発目の @muddydixon さんの「ボトムアップトップダウンの技術組織への変革をしている話」を聞いて色々考えた。大変ためになりました。ありがとうございました。

上記の発表を聞いて以下のような質問をさせていただいた

  • 今回語られた内容は業務依頼/評価など(いわゆるマネージャー、リーダーから見て)部下に対してどうアプローチしていくのがよいか、というのが主な内容であったが、そこに辿り着く前の段階、上位層との信頼関係の構築はどのように行ったか

質問の意図としては「なんであれ決裁権を持たない者の指示指令は、ミクロな視点においてはどうしたって部下は聞かない(経済的なメリットがない)だろうから、上位層から権限譲渡されている前提があるのだろう。その権限譲渡をどのように果たしたのか興味があった」というものである。頂いた御回答としては

  • 直属の上司、さらにその上司の上司?の人たちと信頼関係が築けており、また社長とも直に雑談レベルから会話できる信頼関係を築けてきた経緯がある。

というものだった。この御回答を受け以下のような考えに至った。

そして自身が現職において陥っているだろう「いい兄貴問題」を再考させられ筆をとったという次第である。

マネジメントをするために必要なこと

これは以下なのだと感じる。

  • 被マネジメント層へ適切な振る舞いができるよう経営層から権限譲渡される必要がある
  • 少なくとも技術的人事評価機構は権限譲渡されなければならない

そしてこの辺りの努力の経過を定期的に公開してくださっているのがペパボ社、主にCTOの @kentaro さんなのだと感じる。

そして掲題について

「いい兄貴問題」になぜ陥るか。これは結局のところ「陥る当人はマネージャー/リーダー職についているが、経営層から適切な権限譲渡されていない現状にあるから」というのが前提にあるのではないかと考えた。 権限としての人事評価機能や、ある種の決裁権を自身が持たないがゆえに、部下への指示系統として完全には機能しない状態にある。そのことに自覚的であるからこそ「相対的に部下に報いる行為=いい兄貴として振る舞う」道を局所最適化的に選んでしまうのではないか。マネージャー/リーダーとしての役職名とその責務を(少なくとも見かけ上短絡的に)達成するための善なる気持ちが「いい兄貴問題」を生んでしまうのではないか、報い方を間違えてしまった結果なのではないかと考えた。

少なくともマネージャー/リーダーとして振る舞い、自身の管理対象となるエンジニアとよりよいチームを形成していこうというのであれば、

  1. 自身が経営層から信頼を獲得すること
  2. さらに経営層から自身に権限譲渡されること

が必要なのだと感じた次第である。今回の勉強会の内容はこれらが達成されたあと、初めて有用となるのだと考えた。