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そもさんせっぱちょーちょーはっし

builderscon tokyo 2017 感想

追記

すべてのスポンサーさんに御礼申し上げます。 buildersconをはじめとする技術カンファレンスのスポンサーになっていただくことが、 短期的/長期的視点において企業利益につながることを心から願います。

以下から

builderscon tokyo 2017 - Aug 3, 4, 5 2017 に前夜祭から本日5日まで3日間参加してきました。ベストスピーカー賞という「よかった発表を3つ選んでね」という投票システムがあり、僕は以下に投票した次第です。

OSS開発を仕事にする技術 - builderscon tokyo 2017

この発表で何にぐっと来たかというと、自身の欲望/野望である「自身が一番望んだやり方でOSSへ貢献していくぞ」という技術的挑戦を「自社ビジネスへの貢献」という形で昇華させるというmumoshuさんの熱意とその覚悟にありました。「一番望んだ」は「楽をしたいわけではない」「むしろ茨の道」という感じで、にもかかわらず自身で意思決定して突き進み、ビジネスにきちんと貢献する形で自社システムを便利で強固なものにしていくというのは、かっこいい以外の何者でもありません。 僕は以下のような質問をしました。

「今回は『やった』話でしたが、もしも『やらなかった未来』があったとしたら、この熱量を別の形に注いでいたとしたら、どのような未来があったと思いますか」

とても漠然とした質問でした。意図としては「OSS貢献がビジネス貢献とマッチしなかった可能性について」聞いてみたいと思ったからです。 この質問に以下のようにお答え頂きました(ニュアンスが違っていたらごめんなさい)。

OSSでやってよかったことは、自分(mumoshuさん自身)だけでは到底気づけなかったことを気づくことができ、問題を発見、解決できたこと」 というようなお答えでした。この中にはおそらく「当初見積もっていた『OSS貢献の価値』以上の見返りがあった」ということなのだと感じました。実情はわからないですが、お答えいただいた表情の中にその確信と興奮を見ました。そして僕はこの表情にやられてしまったわけです。

RDBアンチパターン リファクタリング - builderscon tokyo 2017

自身の所属企業の話をしますと、まさに「DBやばくないすか」という状態でありますので、これはうっとなる内容でした。「三角仕様に丸仕様が乗ってる(マジカル!!!)」というのは、まさに僕も自社サービスに日々感ずるところであり、笑っている場合ではない(げらげら)という感じでありました。

発表者であるsoudaiさんもそうですが、僕自身ははてな社にとてもよい印象を持っていて、それは今回の発表でみられたような「銀の弾丸なんてなく、段階的に小さく一歩一歩改善していくしかないという辛い事実から逃げない」そういうエンジニアがいると勝手ながらに思っているからであります。この発表を聞いていて、YAPC::Asia Tokyo 2015 においてのPerlの上にも三年 〜 ずっとイケてるサービスを作り続ける技術 〜というhitode909さんの発表を思い出したりしました。

soudaiさんの発表に話を戻すと「現実的で地に足の着いた計画」というのが、また「改善していくこと」と「ビジネス影響を最小限にすること」を両立させていて、「これこそ目指すべきエンジニアの形だよな」というのが感想です。OSI参照モデルの「第○層:政治層」みたいなジョークがありますが、ビジネスにおいてはこれは全く正しいのですから、卑屈にならず堂々と給料を受け取るためにエンジニアとして必要な事柄なのだと感じたわけです。

AWS CodeBuild を使ってものすごい並列数で CI を実行しよう - builderscon tokyo 2017

ここまで書いてきて僕自身の嗜好みたいなものを自分自身で理解できてきました。どうやらこの手の技術的なカンファレンスであっても、実際技術的な事柄だけではそこまで興味がそそられなくて、ビジネス(もしくは笑い)と絡んだときにはじめてテンションがあがるようでした。「ビジネス的な意思決定のせめぎ合い」とか「意思決定のために選択肢を増やす」みたいなことが面白いんだと感じてるようです(あとは単なる狂気とかが好きです)。

そこでssig33さんです。今回の発表内容の経緯は「CI実行が遅くて困」り、そしてその前提として「プロダクトの価値担保であるE2Eテストを省略するわけにいかない」「さてどうするか」ということでした。やっぱりビジネス的な課題が先にあり、その中で意思決定の選択肢を増やすために創意工夫をするというあたりにかっこよさを感じます。

ssig33.com - インフラエンジニアのいらないインフラ構築 とか Web アプリケーションのインフラ等の即応対応要員の問題だが - Diary などは本当にビジネスとして正しいことを言っていて、今回の発表もこの延長線上にあるのは明らかでまったくぶれていないあたりがとても真摯なんだなと感じたんです。

最後に

builderscon 運営の皆様、また全登壇者の皆様、最後に参加者の皆々様、 楽しく数日過ごさせていただきました。ありがとうございます :)